パウロは、地域の人々がクォリティー・コーヒーの生産に於いて知識を身に付け、投資するのは、より良いとこと確信している。なぜなら、市場ではこの手の製品に対する大きな将来性があり、生産者の評価を高め、利益を向上させるからである。パウロはコーヒー生産者になることを決断した訳ではない。彼は畑の中で生まれ、コーヒーが本当に好きだから働いているのだと言う。子供のころから彼はコーヒー園で働いたが、決して義務的なものは無かったと語る。全く働かなったこともしばしばで、森の中ではしゃいでいることが、より多かった。
パウロは玩具を持っていなかったし、父が庭に置いていた板で、おもちゃの車を作ったりして、それ以外に何も現実のことは考えなかったし、あれが彼の現実だった。青年時代、多くの夢は持っておらず、たしか車かバイクの一台を持つくらいの夢であった。でもコーヒーが溢れる彼の大地を見たいという意欲は持っていたし、毎年少しでも多く植えていた。 今、農園はコーヒー畑で一杯になり、パウロと家族が、今まで築き上げてきた全てのものは、コーヒーのお陰である。
“我々は他の仕事はしない。あるのはコーヒーだ。我々の生活基盤、そして今、我々こうしてある全てを、コーヒーは与えてくれた。”と彼自身は語る。
収穫後、一家全員で、皮むき作業に多くの時間を費やす。皮剥き機は、コーヒーを選別しながら、熟した豆とボイア(低品質のコーヒー豆)や青実とを分ける。グラシオーネが生産したコーヒーは、以前から既にハードタイプに等級分されていたが、コーヒー収穫期中に雨が降った時は“リオ(低級品)”となっていたと彼は語る。選別した後に豆を乾燥している最中に、もし雨があれば、コーヒーは多くの水分を吸収し発酵や、特徴が変わることもある。青実や僅かな数量のコーヒーは露天の乾燥場へ乾燥の為に持って行くこともあるが、劣化問題の解決法として、如何なる雨からも熟成豆を守るためのハウスをグラシオーネは建てた。
今日、グラシオーネは、いくらかの(最高品質の)スペシャリティコーヒーを生産し販売する。そしてWashedを出品した地域の品評会で2007年に優勝した。
農園は一家のものであり、それぞれに分けられた場所で兄弟達は働く。 |