彼の母親マリア・ダ・コンセイサンと父親セバスチャンは、人生について多くの事を彼に教えた。とりわけコーヒーの仕事については父親の役割であった。
毎日サビオはセバスチャンと農園で働いた。
今、彼が知っているコーヒーの仕事は全て現場で学んだ。
2013年に父親が他界し、一家にに於いて彼は男手で最も年長の者となってしまった。彼は、家族の生活を支えるこや、営農へのプレッシャーを感じたが、家族の支えにより全ては上手いき、改めて生計を立て直すことができた。
彼の父親が亡くなる9年ほど前から、サビオの家族は、同地域で農場を営んでいたマルセロという青年とマルセロの兄弟エジーニョが所有する農園で、借地農として働いていた。
そこでサビオは、マルセロと歩合農の契約を結び、家族と仕事を分担しながら、マルセロ兄弟が所有する農園を管理してきた。
マルセロの農園には1万8千本のコーヒーの木があるが、その内の4千本は樹齢15年以上の古いコーヒー樹である。収穫期以外、大方の時間、サビオはこの4千本の木のある圃場で一人働く。収穫期には、仕事がうまく捗る様、幾人かの友人と共同で作業をする。
全てのコーヒーの収穫には摘み取り機を使い、圃場からトラクターで運び出すまでの間、軽く発酵させる為に袋詰した状態で圃場に置かれる。彼のコーヒーの特徴はこの軽い発酵によって醸し出されている。
収穫されたコーヒーは、その後、水洗式選別機に通し、成熟豆・青実・ボイア(樹上で過度に乾燥し劣化した豆)に分けられる。この選別工程があるが故に、良品質のコーヒーに仕上がり、またロット毎の特徴により仕分けがなされる。
さらに熟成豆は、別々に果肉が除去される。何故なら、味や香に悪影響を及ぼす青実が混入していない、最適な状態で熟したコーヒー豆をより多く収穫したいからでである。
果肉除去後の熟成豆は、雨に打たれて過度に発酵して品質が低下しないよう乾燥専用のハウスに移される。
そして、これらの袋から取り出されたサンプルがカッピングされる時、カパラオ山脈のテノワールといった雰囲気の微妙な香りが醸し出される。
サビオは環境保全や健康にも重きを置く。彼は、僅かであるが農薬を使用した後に中毒症状を感じたことがあり、今では殺虫剤は散布しないし、除草剤すら使わない。
また彼は、土壌侵食の防止のために、雨水が丘陵を急激に流れるのを防ぎ、大地へ雨水を沁み込ませるように溜池をコーヒー園内に作っている。
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